私も前立腺がんの生検は初めてでした。最近前立腺肥大、前立腺ガンになる方が増えているそうです。PSAマーカーで簡単に分かる為実際は増えたのでなく、発見される件数が多くなったのでとの話もありますが、ともあれ増えそうです。これから同じ思いをされる方に先人として何かを残そうとして書いています。参考になり、また余計な恐怖を感じないようにとの思いです。
- 4月2日(木) PSAマーカー検査結果 「4.25」
- 5月4日(火) MRI検査をうけて拡散協調画像にて
- 6月16日(金) 前立腺生検(組織検査)のため一日入院
- 6月30日(金) 担当医より生検の結果説明を受けた
- 7月7日(金) 再度CTスキャンと骨シンチグラフィー検査の再設定。
- 参考 CT検査とは詳細
- 参考 シンチグラフィ略してシンチとは? 詳細
- 参考 各種シンチグラム検査
- 参考 骨シンチグラフィー(99mTc- MDP/HMDP)
- 参考 前立腺がんオンコシードシンチ
- 参考 PET-CTとは
- 参考 放射線ひばく
- 7月18日(火) CT検査と骨シンチグラフィー検査を受けました。
- 7月27日(木) 検査の結果を聞きに行きました。
- 8月7日(月) 紹介状をガンセンター東病院に変更してもらう
- 8月8日(火) QST病院より12月4日(月)に出来るとの事
- 8月21日(月) ホルモン療法の開始日が決まる
- 参考 ホルモン療法について
- 参考 重粒子線治療について(QST病院 粕谷吾郎医師の論文より転載)
- 参考 重粒子線治療と陽子線治療の違い
- 参考 柏ガンセンター東病院 陽子線治療ツアー
- 参考 成田記念陽子線センター ツアー
- 9月21日(木) ホルモン注射を受ける
- 9月23日(土)よりカソデックスOD錠80mgを毎日1錠服用開始
- To be continued
4月2日(木) PSAマーカー検査結果 「4.25」
と言う事で前立腺がんの疑いありで泌尿器科を受診。
5月4日(火) MRI検査をうけて拡散協調画像にて
結果 2023年6月2日 9mm大のPIRADS_4の病巣の白い影があった。
6月16日(金) 前立腺生検(組織検査)のため一日入院
悪性か良性かつまりガンか否かは組織を取って顕微鏡で見る検査が必要との事で生検を受ける事にしました。不整脈と高血圧での循環器科の先生、2mmの脳内動脈瘤で脳外科の先生、肺Mac病の呼吸器内科の先生を回って、この生検及びがんの時の全摘手術に耐えうるかどうか判断を貰いました。いずれも軽い症状なのでOkeyな事は分かっていましたが、一応泌尿器科の先生の防衛のためにでした。
当日予定通り10:00に病院に付き、11:00にはベッドに横になりました。
すぐに点滴の用意で針を太い静脈に刺します。そのまま昼食を頂き、13:00頃点滴が始まりました。内容は感染を防ぐ為の抗生物質だそうです。
14:00に手術室に行きまして生検用の特別な椅子に座らされました。電動で足が開くようになっていました。丁度良い高さと角度で固定されて、「直腸指診」から始まりました
麻酔は注射ではなくゼリー状の物を指で塗られました。全然痛くなかったので助かりました。物の本では脊髄麻酔注射と書いてあったので恐れおののいてました。
肛門に指を入れられ、機械を入れられ何か苦しかったです。アナルセックスの快感なんてまるでなし。重苦しい我慢の状態でした。
針を14本刺して組織を取りますが、おのおの全然痛くなく何かぴくっとするだけでした。ただ重苦しかったので、一本、一本数えているのですが、長く感じて早く終わってほしい気持ちでいっぱいでした。
約20分程で終わり、止血のため指を入れられて3分程そのままでしたが、それも苦しくてもう嫌だと言う感じです。血液がなかなか止まらないのかもう1分新たに指を入れられました。
終わってベッドに戻りましたが、おしっこが出たいような感じがして歩いてトイレに行き座ってしましたが、お尻の方から血が混じったドロドロした液体が30ccぐらい出ました。きっと直腸に穴が開き尿道と繋がっておしっこがそちらに流れたと思いました。針が尿道を貫通したと思いました。
暫く安静にしたら、また尿意を催し今度は尿瓶に上手く取れました。血は全然混じっていませんでした。針が尿道を突いたと思ったのは錯覚でした。良かった。
その後尿は尿瓶で取り、私のためのビニール袋に溜めていくように言われました。
1時間ぐらいしてお通じもあり、全然血が混じっていませんでしたので止血も上手くいったようです。お通じの後は重苦しかった下腹部もすっきりしました。
3時間ベットで安静との事で横になっていまして、ガーシーの「死なばもろとも」幻冬舎単行本を読んでいました。なかなか面白いので一気に読んでしまいました。
待ちに待った夕食が来ました。量は少ないですが、栄養のバランスが良いので喜んで食べました。
おしっこも何回か行き1000cc程溜まりました(次の朝最終的に2500cc=2.5リットル程溜まりました)。血尿は無いので本当に良かったです。その後お通じは翌日の昼までなかったです。それも傷口を傷つけないので良かったと思います。
夜は2時頃目が覚めましたので、また違う本を読んでました。
もう本当にテレビは要らないと思いますね。使いませんでした。むしろディスプレイとしてスマホとつなげれた方が良いですね。看護士さんと直にテレビ通話が出来た方が有益かもしれません。
朝になり、体温26.1℃、血圧126.0,酸素濃度97との事で正常でした。朝食を美味しくいただき、リラックスルームでインターネットを少しやりましたが、PCが非常に遅くお手上げでした。私のPCより遅いのは見たことが無かったです(図書館のPCの方が優秀です。)
看護士さんより退院の許可が出ました。最後忘れ物が無いか特に念入りにベッドを調べていました。普段は結構忘れ物が多いのでしょう。
10:00に病院をでました。とても天気が良くすがすがしい一日が始まりました。(天気予報では雨でしたので)
と言う事で無事「生検入院」は終わりました。
6月30日(金) 担当医より生検の結果説明を受けた
担当医から説明ががありました。
生検の14本のうち2本で癌細胞が見つかりました。
場所は左側と右側の上下の中間の場所です。
MRI強調拡散画像診断では左下部に9mmの病巣であったのに、場所が違う点気になりますが。
また生検の結果を印刷してくれなかったのが気になりました。
Anyway 次はほかに転移していないかどうかの検査です。
次回、7月4日火曜日にCTスキャンと骨シンチグラフィー検査をすることになりました。
7月7日(金) 再度CTスキャンと骨シンチグラフィー検査の再設定。
7月4日の検査が、コーヒーの誤飲のため肺炎を起こして咳が酷く止まらないため中止しました。
前回聞きそびれた「グリソン・スコア」は4+5の9だったそうです。かなり悪い数値です。
MRI強調画面での位置と生検で見つかった癌の位置の違いは、前立腺がんは前立腺全体に大小含めて発生し易いのが原因だそうで、納得がいきました。疑問に思ったらすぐに聞いた方が良いですね。次回は7月18日(火)10:10より検査になりました。
グリソン・スコア
前立腺生検で得られた組織の病理検査でがんの診断となった場合、その悪性度を示すのがグリソンスコア(Gleason score)です。
この組織型は、5段階に分けられています。グレードが高いほど(グレード5)最も悪性度の高いがんです。最も多いグレードと2番目に多いグレードを足して悪性度を判定します。
上記がグリソン・スコアと呼ばれるもので、最多がグレード3、2番目がグレード4の組織であれば、グリソン・スコアは「3+4=7」になります。
以前はグレード1、2も付けていましたが、現在では最低がグレード3と定義されているため、グリソン・スコアは最低が「3+3=6」、最悪が「5+5=10」と表されます。
上記のようなTNM分類、グリソン・スコア、PSA値などをもとにリスク分類を行い、治療方針を決定していきます。
CT検査と骨シンチグラフィー検査とは
前立腺がんは男性における一般的ながんで、多くの場合、早期の段階では無症状であるため、診断は困難なことがあります。検査は、がんの存在、進行度、及び広がりを判断するために不可欠です。以下に、前立腺がんの評価に使用されるCT検査と骨シンチグラフィーについて、より詳しく説明します。
- CT検査: CT検査は高解像度の画像を提供する診断ツールで、X線を使用して体の断面像を生成します。前立腺がんの評価では、この技術は腫瘍が前立腺から広がり、隣接する組織やリンパ節に侵入したかどうかを判断するのに役立ちます。
また、がんが遠隔の部位、特に骨や肺に広がっている場合(転移している場合)にも使用されます。CT検査は治療計画を策定するための重要なツールでもあり、手術や放射線治療の計画に使用されます。
- 骨シンチグラフィー検査: 前立腺がんが進行すると、骨への転移が一般的に見られます。骨シンチグラフィーは、骨へのがんの広がりを評価するのに特に有用な診断手段です。
骨シンチグラフィー検査では、放射性物質(通常はテクネチウム99mという核種)を体内に注入します。この物質は骨に集まり、特に骨代謝が活発な領域(新しい骨の成長や修復が行われている場所、または病気や損傷が存在する場所)に特に集まります。
放射性物質が骨に集まった後、特殊なカメラ(ガンマカメラと呼ばれる)がガンマ線を検出し、体の骨組織の画像を生成します。この画像では、放射性物質が集まる程度が異なるため、異常な骨の領域(例えば、がんが広がった場所)を見つけることが可能です。
これらの検査は、専門医が前立腺がんの診断を立て、治療計画を立てるために重要な情報を提供します。どちらの検査が適切であるかは、患者の症状、既知の病状、そして医師の専門的な判断によるところが大きいです。
病期(ステージ)
TNM分類
まず病期は、TNM分類に基づいて判断されるのが一般的です。
前立腺がんの進行度によって病期(ステージ)が決まります。
参考 CT検査とは詳細
1.検査の目的
CT(Computed Tomography)検査は、治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査です。
2.検査の方法
CT検査は、X線を使って行います。
体の周囲からX線をあてて、体の中の吸収率の違いをコンピューターで処理し、体の断面を画像にします。断面にする画像の厚みの設定は、撮影する部位や検査の目的に応じて適切に決められています。検査の目的によっては、造影剤を使用する場合があります。
3.検査の実際
CT検査は、ベッドの上にあおむけになった姿勢で行います。検査の際はベッドが自動で動き、トンネル状の装置の中に入ります。撮影部位によっては、息を止めることがあります。検査全体にかかる時間は10~15分程度です。
造影剤を使用する場合には、検査を受ける数時間前から食事はできません。造影剤を静脈から注射したときに体が熱いと感じることがありますが、一時的なものですので心配ありません。副作用として、吐き気やかゆみ、くしゃみ、発疹などの症状が100人に数人程度、また、血圧低下、呼吸低下などのショック症状が1000人に1人未満に起こることがあります。造影剤は尿によって排泄されるため、検査の後には水分を多めに取ることが大切です。
これまでに造影剤による副作用の症状が出たことのある人、喘息やアレルギーがある人、糖尿病の薬を飲んでいる人、腎機能が悪い人、授乳中の人は、造影剤の使用に注意が必要な場合がありますので、主治医や担当医に伝えてください。
4.検査の特徴
CT検査は、5~15分程度の検査時間で、広範囲な画像を細かく撮影することができます。
5.検査を行う主ながん
CT検査は、血液のがんも含めて、ほぼすべてのがんで検査することがあります。
6.Q&A
- Q1CT検査による被ばくが心配です。体への影響はありませんか?何度撮っても大丈夫なのでしょうか?A11回のCT検査で受ける放射線量は5~30mSv程度です。※Svとは、放射線が人間にあたったときにどれだけ健康に影響があるかを評価するために使う単位です。通常、人の健康に影響することが確認されている放射線量は100mSv以上です。放射線による被ばくが心配になるかもしれませんが、日常生活の中でも身の回りに存在する放射線を受けています。例えば、東京からニューヨークまで飛行機を利用すると、0.11~0.16mSvの放射線を受けます。また、日本においては、1年間の日常生活の中で受ける放射線の線量は平均2.1mSvといわれています。不要な検査を繰り返すことはよくありませんが、医師が必要と判断した場合には検査を行い、がんの発見や治療の効果を確認することが大切です。ただし、妊娠している人、妊娠している可能性のある人は、胎児が放射線の影響を受けやすいため、必ず医師に伝えて相談してください。
参考 シンチグラフィ略してシンチとは? 詳細
シンチグラフィとは、放射性医薬品(ガンマ線という放射線を出す薬)を静脈注射やカプセルで飲むことにより、体内に取り込まれた部分から放出されるガンマ線を専用の装置で体外から計測することによって薬の分布を画像化する検査方法です。
使用される薬剤によって撮像の方法や撮像範囲、体内のどの臓器に集まり、どのような機能を反映するかが異なっており、様々な病気の診断に用いられています。
例えば、骨に集まる薬剤(99mTc-MDPや99mTc-H-MDP)を用いた検査は骨シンチグラフィ(骨シンチ)と呼ばれ以下の画像のような全身の骨に薬剤が集まっている様子が画像に現れています。X線撮影検査やCT検査と比較して位置・形態情報に劣るものの、シンチ検査でしか得られない機能・代謝情報などを得ることができます。
参考 各種シンチグラム検査
骨シンチグラフィー
腎シンチグラム
心筋シンチ
脳血流シンチグラフィー
肺シンチグラフィー
MIBGシンチグラフィー
オクトレオスキャン
甲状腺シンチ
センチネルリンパ節シンチ
前立腺がんオンコシードシンチ
唾液腺シンチグラフィー
脳ドーパミントランスポーターシンチ
参考 骨シンチグラフィー(99mTc- MDP/HMDP)
骨はその形を維持しながら、常に新しい骨組織に置き換わっています(破壊と再生を繰り返しています)。骨に病気が発生すると、この破壊と再生のバランスが崩れ、骨を作りすぎてしまったり(骨造成、骨硬化)、作らなかったり(骨吸収、溶骨)といった現象が起こります。骨シンチグラフィー検査はこの骨造成を反映する検査であり、がんが骨へ転移しているかどうかを検出するのに頻繁に利用されます。がんが骨に転移しているかどうかは、がんの治療を進めていくうえで重要な情報となります。それ以外にも骨折や骨髄炎、関節炎の診断に利用されることもあります。
検査は、まず骨シンチグラフィーの薬の注射を行い、薬が全身に浸透する注射後3時間ころから約30分程度の撮影を行います。この検査だけならば、食事や飲み物の制限はありません。
骨シンチグラフィー:99mTc-MDP/HMDP前立腺癌骨転移
矢印で示したように、肋骨、胸や腰の背骨、腸骨、仙骨などにたくさんの黒い部分があります。これは前立腺がんの骨転移病巣に、薬剤があつまり画像として見えているものです。
参考 前立腺がんオンコシードシンチ
当院で開発された検査方法です。前立腺がんのシード治療では、およそ80個から100個ものシードを前立腺に埋め込んで放射線治療をします。この際、ごくまれにシードが前立腺から逸脱して血流にのり、骨盤内や肺などに飛んでいくことが知られています(これをマイグレーションといいます)。通常ですと、治療後に肺のレントゲン写真をとり、マイグレーションがないかどうかをチェックしますが、シードのサイズは5ミリ メートル弱と非常に小さいため、気づかれないことがありえます。当科では、必要に応じて、前立腺のシードから出ている低いγエネルギーを拾い出し、画像化しています。当院における検出率の感度は従来のレントゲンによる方法では35%, 我々のシンチグラフィーによる方法では100%でした。
レントゲンのように新たに被曝することなく、シードのマイグレーションを簡便に検出できます。
所要時間:数分(マイグレーションがあれば 数十分) 食事制限はありません。
前立腺がんのシードシンチ
参考 PET-CTとは
がんの診断について
PETでは全身のがんなどを一度に調べることが出来る
PETとは、positron emission tomography (陽電子放出断層撮影) の略で、放射能を含む薬剤を用いる、核医学検査の一種です。放射性薬剤を体内に投与し、その分析を特殊なカメラでとらえて画像化します。
CTなどの画像検査では、通常、頭部、胸部、腹部などと部位を絞って検査を行いますが、PET検査では、全身を一度に調べることが出来ます。核医学検査は、使用するくすりにより、さまざまな目的に利用されていますが、現在PET検査といえば大半がブドウ糖代謝の指標となる18F-FDGというくすりを用いた”FDG-PET検査”です。
CT検査などでは形の異常を診るのに対し、PET検査では、ブドウ糖代謝などの機能から異常をみます。臓器のかたちだけで判断がつかないときに、機能をみることで診断の精度を上げることができます。
PET検査は、通常がんや炎症の病巣を調べたり、腫瘍の大きさや場所の特定、良性・悪性の区別、転移状況や治療効果の判定、再発の診断などに利用されています。アルツハイマー病やてんかん、心筋梗塞を調べるのにも使われています。下のような病気で、この検査が必要とされる条件を満たす場合には、健康保険が適用されます。
FDG-PET/CT検査の保険適用(2018年4月改訂)
- てんかん:外科治療のための病巣診断
- 虚血性心疾患における心不全:バイパス手術検討のための心筋バイアビリティ診断
- 心サルコイドーシスの診断
- 早期胃がんを除く、すべての悪性腫瘍、悪性リンパ腫:他の画像診断により病期診断、転移、再発診断ができない時
- 大型血管炎
13N-アンモニアPETによる心筋血流診断(2012年)
- 他の検査で判断がつかない虚血性心疾患
全身を一度に調べられ、予想外のがんの発見に威力を発揮することから、がんの可能性が疑われながら他の検査で病巣が発見できない“原発不明癌”の診断や、がんの転移・再発を調べるのに有力な検査とされています。この特性を利用した、全身のがんのスクリーニング(ふるい分け)を主な目的とする“PET検診”は、当院でも実施しております。“人間ドック”をご参照ください。
FDG-PET検査はこうして行われる
PET検査を受けるときは、ブドウ糖の代謝状態を正しくとらえるために、
検査前5-6時間は絶食していただきます。水や緑茶などは飲んでかまいませんが、ジュースやスポーツドリンクなど糖分を含む飲み物は禁止です。
検査のためのくすり(18F-FDG)は静脈注射し、全身にくすりが行き渡るまで1時間から2時間は安静にします。その間、体を動かすと使った筋肉にくすりが集まってしまうので、安静に過ごしてください。前日に激しい運動をしても、筋肉にくすりが集まってしまうことがあり注意が必要です。余分なおくすりは尿に排出されるので、撮影の前に排尿をしていただきます。
検査の基本的な流れ
- 絶食 検査の5~6時間前は絶食 糖分を含むものは飲食しないでください
- 注射 18F-FDGを静脈注射します
- 安静 1時間から2時間、安静にしていただきます
- 撮影 PET装置のベッドに横になっていただきます
撮影自体はPET装置のベッドに横になっているだけで、基本的には30分から40分間で終了します。
放射性薬剤を用いるため比較的少ないですが、放射線被曝があります。また、使用する薬剤には、アレルギー反応や副作用はほとんど報告されていません。喘息や腎臓病があると、CTなどの造影剤検査が受けられないことがありますがPET検査では問題はなく、安全に受けられます。血糖値が高いと検査の精度が低下する可能性があるので、糖尿病と診断されている方、普段から血糖値の高い方は、あらかじめ相談してください。
2012年11月現在、当院で検査の説明に使っているシートを添付しました。
FDG-PET検査を受けられる患者さまへ:本日の検査の流れ(PDF:88 KB)
FDG-PETの正常全身画像(図1)。
脳、扁桃腺、乳腺、肝臓、腸管、に正常の集積があります。腎から膀胱にFDGの排泄が見えます。これらは、すべて正常の人で見られるもので、がんを疑うような異常はありません。
PET検査でがんはどこまで発見できるか
がん細胞は、勝手に仲間を増やして大きくなり、転移などを起こして広がります。その活動のエネルギーの元はブドウ糖で、がん細胞は正常細胞の何倍もの量のブドウ糖を取り込むため、18F-FDGを注射すると、このくすりもがんの病巣に集まります。くすりが集まったところからは放射線が多く放出されるので、それを捕らえて画像化することにより、がんの病巣を見つけ出すことができます(図2)。
一般に、がんが1cmほどになればPET検査で発見できるといわれています。PET検査が得意とし、よく早期に発見されるのは甲状腺がんや大腸がんです。不得意の代表が胃がん、特に早期胃がんはPETではわかりません。胃がんは日本人に多いがんですが、PETが役立つのは進行がんの転移や再発の診断など限られた場合になります。胃がんを見つけるには内視鏡(胃カメラ)による検査が最も優れています。前立腺がんや腎臓がん、膀胱がんなどもPETが苦手とするがんです。早期の肺がんを見つけるのもCT検査のほうが精度は高いでしょう。肺がんでは、がんが見つかった後で、転移がないかどうか全身を調べるのにPET検査がよく使われ、大変有効です。このように、がんの種類や状態により、PETの役立ち具合が違います(図3、4)。
現在はPETとCTを組み合わせた”PET-CT検査”が一般的です。くすりが集まる様子を撮影するPETと、臓器の形状を撮影するCTを組み合わせ、一度の検査で両方の画像を重ねて表示することができるようになり、診断精度が向上しています。
肺がんの患者さんのFDG-PET/CT全身画像(図5)
検診で異常が見つかった60台男性。PET-CTでは、右肺門と縦隔リンパ節にFDGが集まり、原発巣(赤矢印)とリンパ節転移(ピンク矢印)と診断されました。生検で低分化肺腺癌と判明し、手術が行われました。
全身像白黒、横断像は上から順にPET白黒像、CT、PET/CT融合像(カラー)。
がんの活性で悪性度を診る
早期の肺がんは、ブドウ糖代謝の低いがんで、PETでもほとんどとらえることができません。一方、肺がんの中には、非常にブドウ糖代謝が高く、18F-FDGが豊富に集まるがんがあります。このようながんは、進行が早く転移しやすいがんで、悪性度が高いため要注意です。つまり、がんでブドウ糖がどの程度使われているか、18F-FDGがどの程度集まるかどうかをPETで見ることにより、がんの性質を予想することが出来ます(図6)。
がんの形の変化でなく、活性の変化で抗がん剤の効きを診る。
悪性リンパ腫は、リンパ球という血液細胞のがんで、全身のリンパ節が腫れたり、骨や肝臓など内臓に病巣が発生することがあります。この病気が疑われたときは、細胞を取って調べることと同時に、どこまで病巣が広がっているかを診断するのが重要になります。CTでは首や胸、腹など撮影した範囲の多数の断層画像からリンパ節の腫れを診断することが出来ます。PETでは通常、頭から大腿まで全身の画像を撮影し、輪切りの画像から全身像を作り、一目で病巣の広がりを診断することが出来ます。悪性リンパ腫にはFDGが良く集まるものが多く、PETで非常にわかりやすく病巣の広がりを診断することができます。一般的に部分的な病巣だけであれば、手術や放射線治療が、全身に広がっていれば抗がん剤が選択されます。
悪性リンパ腫の抗がん剤による治療は、非常に進歩しています。細胞を詳しく検査して細胞の型を診断し、それにより抗がん剤の種類や治療法が変わります。最初に使う薬、それが効かなければ次の薬、と薬を使う順番も標準が決まっています。薬がよく効いているかどうか、どこまで同じ薬で治療してよいか、いつ次の薬を使うかの判断が治療の成否、いわば生死を分けると言っても過言ではありません。治療が効いているかどうかの診断は、病巣が全身に広がっている状態では、やはり全身を見ないと判断がむずかしくなります。PETで全身の病巣の広がりと病巣の活性を見るのは治療効果を判定するのに大変役に立ちます。
さらに、治療が効いているのにいつまでたっても病巣が小さくならないということがまれに起こります。これは、傷の上に”かさぶた”が出来てふたをするように、がん細胞が抗がん剤で死んだあと、線維がふえて腫れの中を埋めるため、いつまでたってもリンパ節などの病巣が小さくならないという状態が起きてしまうからです。これをがんが残っていると判断してしまうと、必要の無い強い抗がん剤を使うことになり、副作用で苦しんだりします。PETでは、形だけのがんの抜け殻が残っているのか、それとも本当に活性のあるがん細胞が残ってブドウ糖が使われているかどうかを、18F-FDGが集まるかで正しく診断することが出来ます。一方、形の変化を見るCTではこの診断が難しくなります(図8)。
最近、国際的な悪性リンパ腫の評価基準に、PET検査による評価がを利用することが一般的となっています。最先端の悪性リンパ腫の治療にはPET検査による評価が必須のものになりつつあります。
悪性リンパ腫の患者さんの治療前、後のFDG-PET画像(図9)
治療前(左)、治療後(右) |
50歳台女性、悪性リンパ腫(び慢性大細胞B細胞リンパ腫)の治療前の全身画像には、多数のリンパ節、骨の病巣にFDGが集まっています。抗がん剤の治療後、病巣はすべて消失しました。全身の病巣分布とその変化がひと目で把握できます。治療後骨髄に淡くFDGが集まっているのは、白血球を増やす薬に骨髄が反応している所見です。
FDG-PETで見えるのはがんだけではない
FDG-PETでは、ブドウ糖がいっぱい使われている場所に18F-FDGが集まり、PETで見えてきます。実は、ブドウ糖をいっぱい使っているのはがんだけではありません。脳神経の活動の元になるのはブドウ糖です。脳はブドウ糖しかエネルギーに使うことができません。心臓や骨格筋は雑食性で、ブドウ糖は働くための燃料のひとつです。FDG-PETの画像をみると、脳に18F-FDGがたくさん集まり、筋肉には運動中や運動後に18F-FDGが集まります。心臓はブドウ糖を使うときだけ18F-FDGが集まります。脂肪酸を使うときは18F-FDGは集まりません。18F-FDGは正常臓器のブドウ糖代謝の指標になります。一方、18F-FDGはブドウ糖そのものではないので、腎臓から膀胱へ、尿の中に排泄されます。撮影前に排尿していただくのは、膀胱にたまった尿の放射能を減らすためです。
病原菌が体に入ってくると、白血球などの免疫細胞が活動して細菌を殺し、壁を作って毒素が体内に広がるのを防ぎます。これらの防衛反応が炎症で、免疫細胞の活動のエネルギーはがん細胞と同じブドウ糖です。ですから、肺炎などの炎症病巣にも18F-FDGは集まります。関節炎や膵炎など原因が細菌ではない病気でも18F-FDGは集まります。こういうFDG-PETの特徴を利用して、発熱が続くがいろいろ検査しても原因がわからない”不明熱”の患者さんにFDG-PETを行うと、他の検査ではわからなかった原因病巣が診断できることがあります。
このように、FDG-PETで見えてくるのは、がんだけではありません。さまざま病気や病気でない体の活動が見えてきます。FDG-PETの診断には、鍛えた専門家の目とともに、問診などの情報が重要です(図10)。
参考 放射線ひばく
核医学検査(シンチ検査、PET検査)と放射線ひばく(被曝)
人は普通に生活していても、宇宙線や大地などから放射線を浴び、これを自然放射線といいます。ひばく線量は場所により異なり、日本も含めた世界の平均値は年間2.4ミリシーベルト、アメリカのデンバーでは4、ブラジルの最も高いところで10といわれています。また、宇宙線の強さは、空気が薄くなる上空では高くなり、東京とニューヨークを飛行機で一回往復すると0.2ミリシーベルトひばくするといわれています。
シンチ検査、PET検査どちらも共通するのは、放射性物質でしるしをつけた(標識)薬物を注射し、薬物が体の中でどのように分布したかを、しるしとなる放射性物質から出てくる放射線を検出して画像を作ることです。放射性薬剤を注射するため、放射線ひばくがありますが、PETで使われるフッ素18 (18F と書きます)の半減期、放射能が半分に減る放射線物質の寿命は110分、炭素11 (11C と書きます)の半減期は20分と大変短いのが特徴です。このため、ひばく線量も低く抑えられ、全身のひばく線量は2.2~3.5ミリシーベルトといわれています。つまり1年間の自然放射線量と同等から2倍程度です。PET-CT検査ではCTによるひばくが加算され、2~3倍になりますが、それでも人体には全く害のない、自然放射線レベルのひばく線量です。他の検査、胃の透視やCT検査などとも、大差ありません。(図1)
いくら害が無いといっても、放射線ひばくは少なければ少ないにこしたことはありません。そこで利益とそれに見合う危険(リスク)という考え方があります。PET-CT検査により得られる診断情報は非常に精度が高く、病気の状態を正しく診断できます。また全身を容易に一度に調べることが出来るため、CTや他の検査では見つけられなかった予想外の病気を見つけることが時々あります。そして、正確な診断情報を用いてこそ、最適な治療方針を決めることができ、最善の治療効果が期待できます。PET-CTによる診断情報は、現代の高度に発達し、さまざまな選択肢のあるがんの治療を上手に使いこなすために、欠かせないものになってきています。このような利益は、大多数の人で自然放射線の2~3倍程度のひばくのリスクをはるかに上回ると考えられます。心臓や他の病気でも同様な考え方ができます。
核医学検査(シンチ検査、PET検査)の副作用
CT検査やMRI検査で使われる造影剤とはちがい、PET検査・シンチ検査で使われる放射性薬剤の薬物としての量は極めて微量で、まったく人体に影響を及ぼしません。注射時にも熱感などはなく、アレルギー反応や副作用はまったくといってよいほどありません。ただし、迷走神経反射といって、注射の針を刺すだけで気分が悪くなり失神したりする方がまれにいます。これは予測することが難しいのですが、重症になることはありません。
アルコールに過敏な方がいます。あらかじめ申し出ていただければ、アルコール綿による消毒を別の薬剤に変えることで、過敏症を防ぐことが出来ます。また、特殊な検査で、アルコールが含まれた薬剤を注射する検査がありますが、このときは詳しい問診をおこないますので心配はいりません。
7月18日(火) CT検査と骨シンチグラフィー検査を受けました。
10時10分の予約でしたが、9時50分に付いたのですぐにまず腕の太い静脈(前回の点滴の場所と同じ所)に針を刺し、まず骨シンチグラフィー検査の薬(99mTc-MDPや99mTc-H-MDP)を打ちました。約3時間後にガンマ線カメラで撮影です。13:00より行う事になりました。その間食事制限はありません。その間にCT検査をやる事なり検査室へ移動。先ほどの静脈の針より造影剤を打ちました。その後通常どうりのCTスキャン撮影でした。30分ほどで終わり、ちょうど昼なのでお寿司を食べに行きました。
13:00にガンマ線カメラの前で横たわり20分程撮影して終わりました。
他の部署に転移していない事を祈りまして病院を後にしました。
7月27日(木) 検査の結果を聞きに行きました。
検査の結果を聞きに行きました。結果はほかに転移していないとの事で、癌は前立腺内にとどまっているとの事です。ただグリソンスコアが4+5の9である事から悪性の癌と推察される。そのため早めに癌を小さくする治療が必要との事。ともあれQST病院に移って、そこで改めて診断してもらい治療法を決めたいので、紹介状を書いてもらう事にしました。
QST病院へは東邦医大病院より連絡して初診日は東邦医大病院に連絡が来て私に連絡するとの事でした。7月28日(金)に東邦医大病院より初診日は12月18日(月)との連絡があった。約6か月弱後である。その間癌の増殖はないのか。ホルモン療法をして下さいとの事なのか不明。せめて9月か10月にならないものだろうか。
8月7日(月) 紹介状をガンセンター東病院に変更してもらう
担当医を訪ねて、12月18日では遅すぎるので改めて柏のガンセンター東病院に変更してもらうよう紹介状を改めて書いてもらうようにお願いした。
結果 夏休みもあり8月25日13:30に東邦大学佐倉病院にて書いてもらう事になった。
8月8日(火) QST病院より12月4日(月)に出来るとの事
QST病院より電話があり、2週間前倒しで12月4日(月)の都合を聞かれた。もちろんOK
その際グリソンスコアが9であるのでホルモン療法が必要との事。そこでやはり東邦大学佐倉病院にてホルモン療法(注射)を受ける事にしました。
ホルモン療法では1か月、3カ月、6カ月効く薬があるとの事、たいていは副作用の様子を見るため1か月より始めるようです。
8月21日(月) ホルモン療法の開始日が決まる
本来8月24日(木)よりホルモン療法を開始する予定でしたが、仕事の都合上どうしても午前中には行くことが出来なくなり、結局9月1日(金)の午前中より始めるように決まった。
ホルモン治療によりグリソンスコアを7ぐらいまで下げた後に重量子線療法を始めたいのが治療方針です。
参考 ホルモン療法について
前立腺がんの細胞の成長と増殖は、男性ホルモン(アンドロゲン)であるテストステロンの影響を受けます。ホルモン療法の目的は、テストステロンの作用や生成を減少させることで、がん細胞の成長を遅らせる、あるいは停止させることです。
1. LHRHアゴニスト: LHRHアゴニストは、脳の下垂体に作用して、テストステロンの産生を抑制します。初期の段階で短期的にはテストステロンの分泌が増加する「フレア」現象が起きることがあるため、アンドロゲン受容体拮抗薬と併用することでこの反応を抑制することが多いです。
- ルプロリン(Lupron, Eligard)
- ゴセレリン(Zoladex)
- トリプトレリン(Trelstar)
- ブセレリン(Suprefact)
2. LHRHアンタゴニスト: LHRHアンタゴニストは、下垂体のLHRH受容体に直接結合してテストステロンの産生を迅速に抑制します。フレア現象が起きないのが特徴です。
- デゴレリックス(Firmagon)
3. 抗アンドロゲン薬: これらの薬は、アンドロゲン(テストステロンやジヒドロテストステロン)が前立腺がん細胞のアンドロゲン受容体に結合するのを阻止することで、がんの成長を抑制します。
- ビカルタミド(Casodex)
- フルタミド(Eulexin)
- ニルタミド(Nilandron)
新世代の抗アンドロゲン薬として:
- エンズルタミド(Xtandi)
- アパルタミド(Erleada)
4. ステロイド: プレドニゾロンやデキサメタゾンなどのステロイドも、進行前立腺がんのホルモン療法に使われることがあります。
ホルモン療法は、初期の前立腺がんだけでなく、再発や進行した状態の前立腺がんにも用いられます。ただし、長期間のホルモン療法は骨密度の低下、筋力の減少、動悸、熱感、性欲減退、勃起不全などの副作用を伴う可能性があります。
治療方針や薬物の選択は、がんの進行度、患者の健康状態、年齢などの多くの要因に基づいて決定されるため、医師との綿密な相談が必要です。
ホルモン治療の併用について
中リスク群、または高リスク群の患者さんには、重粒子線治療開始前に2~6か月間、ホルモン治療の併用を推奨しています。原則として、抗アンドロゲン剤(内服)とLHRH製剤(注射)を併用していますが、ホルモン治療によって肝酵素の上昇や生活の質が著しく低下する場合には、LHRH製剤単独でも可能です。
当院で推奨しているホルモン治療の実施期間は、中リスク群で6か月、高リスク群で通常1~2年です。低リスク群にはホルモン治療を併用せず、重粒子線単独で治療します。
参考 重粒子線治療について(QST病院 粕谷吾郎医師の論文より転載)
前立腺がんに対する重粒子線治療について
記載医師 粕谷 吾朗
はじめに
前立腺がんのスクリーニング検査となるPSA測定が普及し、前立腺がんの患者数は増加し続けています。限局性前立腺がんに対する根治治療は、手術または放射線治療であり、病態に応じてホルモン療法を併用します。重粒子線治療は放射線治療のひとつですが、通常用いられるX線と比べ、高度な線量集中性(低い副作用)と高い殺腫瘍効果(高い治療効果)という特長をもつ放射線治療です。QST病院(旧 放射線医学総合研究所病院)では限局性前立腺がんに対する重粒子線治療を、1994年から現在まで3000名以上の患者さんに施行してきました。その間に、20回(5週間)→16回(4週間)→12回(3週間)と、照射回数を減少し、患者さんの負担軽減に取り組みながら、高い治療効果と低い副作用発症率を維持してきました。かつては先進医療だったため、高額な治療費が必要だった重粒子線治療ですが、2018年4月からは前立腺がんに対する重粒子線治療が保険収載され、国民の皆様に身近な治療として利用していただけるようになりました。現在はさらなる負担軽減を目的に、適格条件を満たす一部の患者さんに対し、安全性と効果を検証する目的で4回照射の臨床試験を行っています。
重粒子線治療の適応について
1.がんであることを、生検により診断されていることが必要です。MRIやCT/PETなど画像のみによる診断では適応になりません。
2.限局性前立腺がんの方が対象となります。 他臓器やリンパ節に転移病変のある患者さんは適応になりません。
重粒子線治療が適応にならない場合について
上記のように生検されていない場合や転移病変を有する以外に、重い合併症など治療に差し障る全身状態である場合や、医師が治療困難と判断する場合にも、適応にならないことがあります。
重粒子線治療の利点について
前述のように、重粒子線は腫瘍に集中して高い線量を照射することができる性質があるため、重度の副作用発症率を低く維持しながら、高い治療効果が期待できます。
重粒子線治療の副作用について
照射期間中から出現する典型的な副作用に、尿の出しづらさ(排尿障害)や尿回数の増加(頻尿)があります。程度が強い場合には内服薬を処方します。治療中もしくは治療直後から生じた副作用は、治療後1~2か月で治療前の状態に回復することが多いです。治療後1年くらいから発症しうる典型的な副作用に、血便や血尿があります。血便や血尿を経験する患者さんの割合は全体で1~2割程度いらっしゃいますが、重度になることはほとんどありません。ただし抗凝固薬を内服されている患者さんは、血便や血尿が多少起こりやすくなります。また尿漏れはほとんど起こりません。性機能に関して、ホルモン治療を行わずに重粒子線を単独で治療される患者さんでは、男性機能が維持されることが多いです。しかし精嚢を一部照射するため、射精障害を生じることがあります。ホルモン療法を併用する場合には、ホルモン療法独自の副作用の可能性があります。頻度の高いものとしては、ほてり(ホットフラッシュ)、筋力低下、性欲減退、勃起障害などです。副作用の多くはホルモン治療が終われば改善が期待できますが、改善に長期間を要する場合もあります。
前立腺がんに対する重粒子線治療の詳細
対象となる患者さん
生検により前立腺がんと診断され、CT、MRI、骨シンチグラフィーにて転移がない症例。
限局性前立腺がんに対する重粒子線治療の成績
一般に限局性前立腺がんはリスク(危険度)分類され、危険度の低い順に低・中・高リスク群と分類されます。日本国内の他の重粒子線治療施設との多施設後ろ向き試験において、5年間の全生存率は、低リスク群で100%、中リスク群で99%、高リスク群で96%でした※1。また、副作用について、上記の多施設共同試験において、5年間の重度の合併症発症率は0%であり※1、非常に低率であることが報告されています。また、当院単施設における長期成績の報告では、最も危険度の高い高リスク群において、前立腺がんによる死亡率は5年間で1.5%、10年間で5%であり、これらの成績は手術と同等に良好でした※2。
ホルモン治療の併用について
中リスク群、または高リスク群の患者さんには、重粒子線治療開始前に2~6か月間、ホルモン治療の併用を推奨しています。原則として、抗アンドロゲン剤(内服)とLHRH製剤(注射)を併用していますが、ホルモン治療によって肝酵素の上昇や生活の質が著しく低下する場合には、LHRH製剤単独でも可能です。
当院で推奨しているホルモン治療の実施期間は、中リスク群で6か月、高リスク群で通常1~2年です。低リスク群にはホルモン治療を併用せず、重粒子線単独で治療します。
前立腺がんに対する重粒子線治療の流れ
1,初診;ご紹介病院からの資料をもとに、適格性の判定と治療の説明をします。
2,外来2回目(初診から2週間程度);当院におけるリスク群が確定します。また、その後の準備や治療についての具体的な日程をお伝えします。
3,外来3回目(外来2回目から数ヶ月後);患者さんの体型にあわせた熱可塑性樹脂による固定具を作製します。その後、固定具を装着した状態で治療計画CTを撮影します。その後、改めて治療内容についてご説明のうえ、よろしければ同意書にサインをいただきます。(※署名後のキャンセルも可能です。)
4,治療開始; 入院・通院いずれも可能です。治療回数は12回です。治療は通常、週4回(火、水、木、金)行われますので、祭日等がなければ3週間で終了となります。
照射中は痛みや熱感などの刺激を伴いません。照射室内の治療台に乗り、担当技師による位置合わせが始まります。通常15分程度の位置合わせが終わると、照射開始の声がかかります。照射は3~4分で終了します。
線量分布のご紹介
以下が当院で実際に治療された患者さんの線量分布です。12回照射では、1日1方向ずつ、左右2方向から照射します。
前立腺がんに対する重粒子線治療の臨床試験について
当院では前立腺がんに対して、以下の臨床試験を行っています(2019年8月現在)。
1.低・中リスク限局性前立腺がんに対する根治的炭素イオン線治療4回照射 第I/II相試験
2.限局性前立腺がん外部放射線治療後の局所再発症例に対する救済重粒子線治療4回照射法 第I/II相試験
3.限局性前立腺がんに対する重粒子線治療後のQOL調査
文献
※1 Nomiya T et al. A multi-institutional analysis of prospective studies of carbon ion radiotherapy for prostate cancer: A report from the Japan Carbon ion Radiation Oncology Study Group (J-CROS). Radiother Oncol. 2016;121:288-293.
※2 Kasuya G et al. Cancer-specific mortality of high-risk prostate cancer after carbon-ion radiotherapy plus long-term androgen deprivation therapy. Cancer science, 2017,108:2422-2429.
連絡先
連絡先QST病院 地域医療連携室TEL:043-206-3483 FAX:043-206-3439受付時間平日 9:00〜11:30、12:30〜16:00
- 16:00以降は翌診療日の対応となります
参考 重粒子線治療と陽子線治療の違い
重粒子線治療と陽子線治療は、共に放射線治療の一種ですが、使用される粒子の種類が異なります。
陽子線治療
- 使用する粒子: 陽子(プロトン)水素陽子
- 特徴: 陽子線は、人体に放射された時、一定の深さまで進んでからそのエネルギーの大部分を放出し、その後急激にエネルギー放出が少なくなるという特性(ブラッグピーク)を持つ。これにより、がん組織のみに高い線量を集中的に与えることが可能であり、周辺の正常組織への被曝を大幅に減少させることができる。
重粒子線治療
- 使用する粒子: 炭素イオンなどの重い粒子
- 特徴: 重粒子線は、陽子線と同様にブラッグピークを持つが、さらに生物学的な効果が高い。これは、炭素イオンがDNAに直接ダメージを与え、がん細胞を効果的に殺す能力があるためです。そのため、放射線に耐性を持つがんに対しても効果的とされる。また、線量分布がシャープであるため、正常組織への影響をさらに低減することが期待される。
主な違い
- 使用する粒子: 陽子線治療は陽子を、重粒子線治療は炭素イオンなどの重い粒子を使用する。
- 生物学的効果: 重粒子線の方が生物学的効果が高く、放射線耐性のがんにも効果的。
- 治療適応: 重粒子線治療は、陽子線治療よりも限定的な施設でしか行われていないため、適応や可用性に差がある。
両者ともに、従来のX線放射線治療と比べて、正常組織への影響を最小限に抑えながら、ターゲットとなる腫瘍組織に高い線量を集中的に与えることが可能です。適応疾患や治療の詳細、副作用については、治療を検討している医療機関や放射線治療専門医との相談が必要です。
参考 柏ガンセンター東病院 陽子線治療ツアー
参考 成田記念陽子線センター ツアー
9月21日(木) ホルモン注射を受ける
9月1日より受ける予定でしたが、色々ありまして本日9月21日になりました。
注射はベットに寝かされ、おなかの脂肪の多いところに受けました。
二人の美人の看護婦さんに看取られて太い注射器で打たれました。
男の子頑張れと声をかけて耐えました。
22日現在副作用は出ておりません。
薬はオリジナルの薬が在庫切れのため取り寄せになって居ます。
9月23日(土)よりカソデックスOD錠80mgを毎日1錠服用開始
カソデックス (Casodex) は、抗アンドロゲン薬の一つであり、主に前立腺がんの治療に使用される薬物です。アンドロゲンは男性ホルモンの一種であり、前立腺がんの細胞の成長や増殖を刺激することが知られています。カソデックスは、このアンドロゲンの作用をブロックすることで、がん細胞の成長を抑制します。
以下は、カソデックス OD錠80mgに関する一般的な情報です:
- 作用機序: カソデックスはアンドロゲン受容体アンタゴニストとして作用し、アンドロゲン(主にテストステロン)の効果を競合的に阻害します。これにより、前立腺がん細胞の成長が抑制されます。
- 用途: 進行性の前立腺がん、特に外科的去勢や他の治療法が不適切または効果が期待できない場合に使用されます。
- 投与方法: 通常、1日1回、食事と関係なく経口投与します。医師の指示に従って服用することが重要です。
- 副作用: カソデックスには、肝機能の異常、乳房の腫れや痛み、疲れや弱さ、かゆみや発疹などの副作用が報告されています。副作用に関して不安や疑問がある場合は、医師や薬剤師に相談することが重要です。
- 注意事項: カソデックスは他の薬との相互作用がある場合があるので、他の薬を服用している場合は医師に伝えることが必要です。また、治療中は定期的に医師の診察を受けることが推奨されます。
コメント